(1) Me109 E-1, ハンス・トロイチュ軍曹,6/JG77,ヴァンゲルーゲ/ドイツ、1939年12月。
機体はRLM71/02/65の迷彩ですが,胴体側面にモットリングは殆ど見えません(文献4)。文献2の写真を見ますと、右主翼先端がRLM70に塗られていることが判ります。文献3の写真では水平尾翼支柱を含めて尾部にいくつかの赤いパッチ(弾痕を修理した跡)が見られます。文献1の写真ではさらに胴体にもダメージを受けた事が判りますし、その後胴体にさらに赤のパッチが張られたものと思われます。モデラーの方がそう選ぶ場合に備えて、余分の赤丸を入れてあります。ペンギンのマークはIII/JG77の部隊マークで、彼の最終スコアは不明です。
 (英語の説明書では国をノルウェーとしていますが、正しくはドイツです。)

(2) Me 109F-4, ヘルムート・メルテンス大尉,1/JG3中隊長,スターリングラード近郊,1942年7月末.
この機体は3桁の"111"という機番をつけたユニークな機体(文献5)で、実戦部隊の戦闘機でこの様な機番をつけたものは他に例がないと思われます。 機体はRLM74/75/76の通常のグレー迷彩で、47個のキルマークはかなり粗っぽく記入されています。ラダーの右側のキルマークは確認できませんが、モデラーの方がそう選ぶ場合に備えて入れてあります。機首部分は写真外(文献6,7,8)なので、イラストは同じ部隊の他の機体をもとに推察しました。メルテンス大尉は7月末に50機撃墜を達成し,1942年9月4日に騎士鉄十字章を受けました。

(3) Me 109 G-2/R6, ヴォルフディーター・ヒュイ大尉,1/JG77中隊長,ロシアから北アフリカに移動する途中のどこか,1942年10月25日.
この機体の全姿写真は文献9にあります。まだ2種のダークグリーンの迷彩を施していますが、写真からでは機体上面の正確な迷彩パターンを判読するのは困難です。この2色は(RLM70/71とは異なる)現地で調合されたもので、その正確な色合いは分かりません。イラストに示したのは私たちのベストの推察ですが,確証はありません。鉄十字の中心はRLM75に塗られており、スワスチカの下のRLM76は塗り残されています。ラダー右側のキルマークは確認できませんが、モデラーの方がそう選ぶ場合に備えて入れてあります。ヒュイ大尉は合計40機撃墜を記録しました。

(4) Me 109 G-6, カール・ランメルト大尉,II/JG51飛行隊司令官,ニッシュ/セルビア,1943年12月.
多分通常のRLM74/75/76の迷彩と思われます。ラダーは黄色,機首下面も多分黄色に塗られています。文献10の写真を見ると,主翼,尾翼上面は74の少ない独特のパターンであることが判ります。鉄十字の中心は暗色になっており、この機体のまたは同様な塗装をした他の機体を少し後の時期に撮ったカラー写真を見ると,この中心部はRLM71に近いダークグリーンでると思われます。上記カラー写真ではさらにスピナーを黄色に,茶色の斑点/モットリングを胴体,主翼上面に施しており,主翼上面の鉄十字の白はより細くなっていることが判ります。ラダー右側のキルマークは確認できませんが,モデラーの方がそう選ぶ場合に備えて入れてあります.胴体上面の黄色三角マーク(#35)はこの機では記入されていません。ランメルト大尉は46機撃墜を記録しました。

考証にあたり、松樹祐司氏にご協力頂きました。ここに厚く感謝します。